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【小戸PJ】建築環境デザインスタジオⅠ

「哲学する建築実践:谷戸を再編集する」

人間の切り離せない営みが行われるトイレを切り口に、分散的なキャンプ場を設計することで、高齢化が進み、耕作地が後退する谷戸で集落全体をゆるやかに再編集していくことに挑みました。対象地は、昨年度に引き続き、千葉県南房総市の小戸です。現地にて行われたフィールドワークにて「水」「植生」「風・光」「動物」という4つのテーマでグループ分けし、そのリサーチを発展させる形でそれぞれのグループで成果物を作り上げていきました。


6月3日には石川先生、高木先生をクリティークに迎え最終講評会を行いました。その際の各班の提案を紹介します。




水班

谷戸地形ならではの源流、田んぼ、ため池などの水を中心とした自然資源を生かした分散型のキャンプ場を提案しました。源流では自然の中での水音をサウンドスケープとしてトイレやキャンプに利用し、利用されなくなっているため池の水は発電や人口湿地による汚水処理へ活用されていきます。耕作放棄が問題となっている田んぼは、鴨や魚の池とすることで食の生産地としながら多様な水生生物環境を作り出します。小屋、養殖池、ツリーハウス、トイレなどの構築物は、土、竹を共通の素材として作られており、自然資源を介して紡がれる谷戸の風景が描かれています。




植生班

スケールを横断して物や人の動きを考え、小戸へキャンプに訪れる人のストーリーをパンフレットという形にして描き出しました。3つのスケールで小戸を捉え、ミクロスケールでは放棄された棚田を中心に、重力に従ったものの動きの中でキャンプを位置づけました。中間スケールでは、山から海までの流域単位で食材や水の循環を主題として描きました。そこにサイクリングコースを挿入し、海のキャンプ場との連携を提案しました。マクロスケールでは、各都市と小戸をつなぐ交通インフラの低未利用部分に着目し、小戸の物が広域的に商業とは異なる観点から流通する仕組みを想像しました。




風・光班

小戸の入り組んだ谷戸地形に着目し、地形に呼応した分散型の長期滞在施設を提案しました。長期滞在者が活動ののちにぼーっとすることができるように休耕田を活用した農業アクティビティを準備しています。

南面を向いた放棄された棚田には、来訪者を迎え入れる集落の玄関として受付を設計しました。眺めの良い休憩スペースからは集落全体を見渡すことができ、縁側では緑と光にあふれた山手をながめながら過ごすことができます。

空き地となっている堰のふもとの坂には、既にある農作業小屋の形態を参考にしながら、炊事場や風呂・洗濯室・トイレなど水回りの施設を計画しました。





人・動物班

小戸地区の動物や人に着目し、分散型のキャンプ場を楽しめるよう、小戸生き物図鑑というアプリの構想と二種類のトイレの設計を行いました。

小戸生き物図鑑は、スマホアプリのデータベースで、見つけたら写真と場所を登録していきます。生き物の種類がどんどん増えていく仕組みで、夏休みの自由研究にも活用できます。

二種類のトイレは自然の循環と人、地元住民と来訪者、などの結節点として機能します。バイオトイレは移動式のカートリッジを利用し、季節ごとに主なトイレが変化します。水洗トイレは地元住民にキャンプ場運営者が浄化槽を借りる形で運営し、逆にキッチンや直売所は住民も利用することができます。


今後は現地で発表会を行い、スタジオⅡでは設計したものをブラッシュアップして小戸に実際に建てる予定です。

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